「自分の親は毒親かもしれない」と思ったことはありませんか?

 

この記事で紹介する「毒親の特徴」を読むと、自分の親が毒親なのか毒親でないのか判断できるようになります。

 

なぜなら、私も自分の親がこの特徴に当てはまって、毒親だと認識できたからです。

この記事では、毒親の特徴を10つ紹介して、自分の親もしくは自分自身が毒親かどうか判断する方法をご紹介します。毒親の言動に客観的に理解しやすくなるし、毒親対策も考えやすくなります。

 

毒親とは

毒親とは、子供の人生を支配したり子供を傷つけたりして、子供にとって「毒(有害)」になる親のことをいいます。

毒親という言い方は、2001年に発刊されたスーザン・フォワードさんの著書「毒になる親 一生苦しむ子供」(講談社+α文庫、玉置悟訳)が話題になり、知られるようになりました。

親が子供を支配する方法はいくらでもあります。そのため、親は、知らず知らずのうちに子供を親の言いなりになるように育てているのです。

残念ながら、親は自分が正しいことをやっていると認識しているので、毒親になっていると気づくことはほとんどありません。

一方、子供は成長にあわせて環境が変わり、人間関係が広がったりして、「自分の親は毒親なんじゃないか?」と気づきやすくなります。

それでも、毒親だと気づけたのが大人になってからとか、毒親だという事実を受け止めきれないことも。毒親だとわかったからこそ、親子関係の悩みが増えます。

 

毒親の毒は4つのタイプある

毒親の定義はざっくりとしすぎていますが、毒親の「毒(有害)」は4タイプがあります。

毒親がどんな毒を子供に与えていても、かならず下記の4タイプのどれか、もしくは複数のタイプに当てはまります。

・過干渉・統制タイプ
・無視・無関心タイプ
・暴力肯定タイプ
・病気持ちタイプ

毒親と言っても、ひとりの人間です。あなたと同じように、気持ちの浮き沈みや変化でいろいろな表情を見せるでしょう。どれかひとつのタイプに当てはめるのは難しいですが、タイプの傾向がわかれば毒親対策もしやすくなりますよね。

過干渉・統制タイプ

このタイプの毒親は、子供に起こるであろうすべての問題に先回りして対応します。

毒親が先回りをするのは、子供には「危ない橋を渡ってほしくない」「失敗してほしくない」という心配性な気持ちがあるからです。毒親にとっては善意です。

一方で、「毒親の思い通りにしてほしい」という毒親ならではの思惑も混ざっています。毒親は子供よりも経験値があるので、子供の身に何が起こるのかを予見して「こうすべき」と指示もできます。指示によって、子供の行動を制限します。

 

無視・無関心タイプ

このタイプの毒親は自己中心的な考えの持ち主で、「自分さえ良ければそれでいい」と考えます。

なぜなら、仕事や趣味、人づきあいなど、子供のこと以上に熱中できることがあると、子供のことはそっちのけで毒親は熱中できることに力を入れるからです。

自己中心的な考え方が抜けきらないのは、毒親が大人になりきれていなかったり、独身時代に未練があったり、過去にとらわれていたりして現実逃避しているにすぎません。ネグレクト(育児放棄)をしている可能性もゼロではありません。

暴力肯定タイプ

このタイプの毒親は、問題が起きたときに力関係や主従関係で解決しようとします。

暴力とひとことで言っても、殴る・蹴るだけではありません。暴言のように精神的に子供を追い詰めるものから、虐待のように精神的にも肉体的にも子供を追い詰めるものもあります。

暴力の肯定は、社会生活を送るためにも、人間関係を築くためにも悪影響しかありません。

しかし、毒親自身が暴力を肯定する家庭で育ってきたり、暴力なしでは生きられない環境にいたりすると、いけないことだとわかっていても暴力に依存している可能性もあります。

病気持ちタイプ

このタイプの毒親は思い込みが激しく、事実を歪めて自分の都合のいい解釈をします。

日本精神神経学会の報告によれば、40人に1人が精神疾患のために医療機関に通院しているとのこと。ストレスや不安を抱えやすいからこそ、誰でも精神疾患になる可能性があります。精神疾患が悪というわけではありません。

このタイプが毒親になるのは、精神疾患を理由に子供に言いがかりをつけたり、都合のいい解釈をして責め立てたりするからです。精神疾患は毒親が向き合うことであって、そのイライラや不快感を子供にぶつける必要はありませんよね。

 

毒親の10つの特徴とチェックリスト

毒親の定義はざっくりしすぎているし、毒親によってどんな毒を子供に与えているのかは違うので、毒親と判断しにくいこともあります。

あなたの親もしくはあなた自身が毒親だと判断するには、下記の毒親の特徴が3つ前後当てはまると確信を持ちやすくなります。毒親の特徴は以下の通りです。

・子供を管理する
・子供を支配する
・子供に価値観を押しつける
・子供を過保護にする
・子供に過干渉になる
・子供に暴言を吐く
・子供に暴力をふるう
・子供に罪悪感を植えつける
・子供の進路や就職に口を出す
・大人になっても恋愛や結婚に口を出す
・子供の人間関係に口を出す

これだけだとわかりにくいので、それぞれ詳しくご説明します。

子供を管理する

毒親は、子供を毒親の理想に近づけるためには手段を選びません。

それは、毒親自身ができなかったことを子供に託したい思いが強すぎるからです。

この傾向のある毒親の言動は、以下のようなものがあります。

・子供の行動を制限する
・子供の服装や趣味などに口を出す
・子供が自分でするはずのことを毒親が対応する

なお、子供も毒親の思惑がわかっているので、毒親の前では自己防衛のために「いい子」を演じます。ただ、毒親には本心を隠しているので、毒親の前とその他の人の前ではあからさまに対応を変えることもあります。

子供を支配する

毒親にとって、子供はいつになっても「何もできない存在」です。

そのため、子供には知識も体力も精神力も毒親より劣っているとか、毒親なしでは生きられないと思い込ませて、毒親に依存させようとします。

具体的には、子供ならではの経験や体験を毒親の判断だけで遮断するような言動があります。

・子供の言動を頭ごなしに批判し、抑え込もうとする
・子供に挑戦させたり経験させたりしない
・禁止事項を作り、反した場合はペナルティを課す

子供に価値観を押しつける

毒親は世間体を異常に気にするので、子供が世間体から外れるのを嫌がります。

なぜなら、毒親にとっては「子供の評価=毒親の評価」なので、子供の評価が低いと毒親のプライドが傷つけられるからです。

そのため、毒親は子供を常に観察し、問題点を見つけると叱るなどして過剰なまでに子供の言動を矯正させようとします。

この傾向のある毒親の言動は、以下のようなものがあります。

・きょうだい間で優劣をつけ、劣っている子供を罵倒する
・子供の話を聞かない(聞けない)
・子供の気持ちを無視したり、価値観を批判する
・子供をひとりの人間として認めない(毒親の所有物として扱う)

子供を過保護にする

毒親は、子供に必要と思われる存在でずっといたいと考えます。

それは、毒親の自己肯定感が低いので、子供が毒親に依存すればするほど自己肯定感を高められるからです。

毒親は、誰かに「頼られている」「必要とされている」と実感できる経験が少ないです。子供は毒親の存在価値を認めてくれる唯一の存在になるので、手放そうとは思えないですよね。

子供をつなぎ止めるためには手段を選ばないので、上記の管理・支配につながる言動が目立つようになります。

・子供の言動を管理したり支配したりする
・子供の親離れを、あらゆる手段を尽くして阻止する
・毒親自身が解決すべき問題を、子供になすりつける

子供に過干渉になる

毒親は人間関係を築くのが苦手で、他者との「ほどよい距離感」がわかりません。

なぜなら、毒親も毒親育ちなので、親に依存されるか突き放されるか、極端な人間関係しか築いてこなかったからです。

人間関係が貧しいほど、築き上げた人間関係に執着して、何が何でも関係をつなぎ止めようとします。毒親は子供のあなたが生きがいになっているので、「何をしても許される」と思い込んでいるのです。

そのため、毒親が過干渉になると下記のような対応をしやすくなります。

・子供に過度な要求をする
・子供の持ち物やスケジュールを細かく監視する
・子供の自由時間を奪う
・子供にしつこく質問をする

子供に暴言を吐く

毒親は、自分が優位な立場であると子供に知らしめたいと考えています。

それは、毒親の最終目標が「子供が毒親に依存すること」だからです。子供が毒親から離れたいと思っても、離れさせないようにするのです。

毒親がそこまでするのは、「自分さえ良ければいい」という自己中心的な発想です。子供が毒親に恐怖心を抱き、主従関係を築くためなら手段を選びません。

暴言とひとまとめにしましたが、その種類はたくさんあります。たとえば以下のような発言です。

・「あなた(お前)さえ生まれてこなかったら」
・「お姉ちゃんなんだから」「お兄ちゃんなんだから」
・「いい歳なんだから、〇〇しなさい」
・「いい子にならないなら、もう知らない」

子供に暴力をふるう

上記「子供に暴言を吐く」と同じで、毒親が子供に優位な立場だと知らしめたいときに使う手段です。

子供が小さいときから暴力をふるうことで、子供に主従関係だけでなく、恐怖心を与えるには絶大な効果を発揮するからです。

毒親にとって暴力は「しつけ」のひとつです。子供にとって家庭は世界のすべてなので、毒親に何をされても耐えないといけないものと認識されやすく、異常とは思いません。どんな暴力も受け入れ、こころが疲弊していくのを毒親は良しとします。

暴力といっても、子供を肉体的に苦しめるものだけでなく、精神的なものから性的なものまで多様です。

・子供に平然と暴力をふるう
・子供が何をしていても無視する
・子供の養育を放棄する
・子供に性的な虐待をする

子供に罪悪感を植えつける

子供に「罪悪感」を抱かせるのも、毒親の特徴です。いつまでも自分の庇護が必要な子どもであってほしいため、ひとりの人間として子に向き合うのではなく、支配する親として君臨したいのです。

たとえば、「やりたいことを我慢して、あなたを育ててきたのに」。
これは母の希望と違う進路を選んだときなどに、ついてくる言葉ですが、「人生を犠牲」にした母のために、母の希望に添って生きることが正しいのでしょうか?

「お母さんができなかったことをあなたにしてほしいの」。
人格も興味も能力も違い、生きる時代も違う子が、なぜ「母のやりたかった夢」を叶えなければならないのでしょうか?

「あなたさえいてくれれば、もう何もいらない」。
これは「他の関係をあきらめたのだから、私のそばにいて」という大胆な要求を突きつけているわけです。

こんなことを言われては、子どもは罪の意識を伴うことなしに、自分の人生を生きることができません。

・「やりたいことを我慢して、育ててやったのに」
・「恩を仇で返すつもりか」「親不孝者め」
・「あなたさえいてくれれば、もう何もいらない」

子供の進路や就職に口を出す

子どもへの評価=自分への評価だと思い、就職は子育ての最終評価が決まる場所と捉え、子どもの就職セミナーに親が参加することも。異性関係や結婚生活、出産や孫育てまで、どこまでもアドバイスしたくて仕方がない、そんなことはありませんか?

一人の人間として精神的に自立しきれずに発せられるさびしさから、親が子育てに執着してしまうと、子の人生に干渉し続けてしまいます。それを言うことが「子のためになる」と真剣に信じていますが、その気持ちは苦しいプレッシャーとなり、子ども自身の意志を狂わせていきます。

母にとっては、娘が自分と同じ道を歩めば、自分はいつまでも娘の上に立てます。自分の生き方を娘に肯定してもらった気持ちにもなるでしょう。「私のように生きなさい。但し、私より幸せになってはいけない」というメッセージを無意識に送り続けているのです。

「お母さんの言うとおりにしていれば間違いない」。
進路や人生設計をすべて「お母さんの言うとおり」にすれば、本当に幸せな一生を送れるのでしょうか? そうでなければ、不幸になるのでしょうか?

・進学先は高偏差値、就職先は大手企業への入社を強要する
・子供の気持ちを無視し、反論は封じ込める
・思い通りの選択を子供がしないと激怒する

子供の恋愛や結婚に口を出す

恋愛に関する価値観や思考は、親に強く影響されます。恋人を否定され結婚できない人や、母親に過干渉で育てられたと感じている人が背負う苦しみは、恋愛や結婚に影を落とします。

子どもは、親の価値観に強く縛られると、成人しても親の価値観と自分の考えと区別しづらくなってしまうのです。そのことに気づくことにも時間がかかります。また自覚できたとしても、抜け出すのは容易ではありません。

・「あなたとは釣り合わない」
・「(〇〇さんは)素行が悪いから付き合うのをやめろ」

子供の人間関係に口を出す

上記「子供の進路や就職に口を出す」と同じで、恋愛や結婚のような人間関係も、毒親が納得できる人間関係でなければならないと考えています。

なぜなら、毒親は子供を「永遠のクリーンな存在」と思い込んでいるために、そのイメージを壊す人物との関係を断ちたいからです。

ただ、毒親の思いは子供の年齢によって矛盾が生じます。幼い頃は「毒親にとっての都合のいい子」を強要し、結婚適齢期になると「行き遅れ=負け組」にならないように結婚を強要します。

素行が悪かったり派手だったり、毒親が気に入らない人物と子供が付き合っていたら、下記のようなことを言ってあなたの人間関係を否定するでしょう。その判断は、毒親の思い込みだけで決められてしまいます。

・「結婚して、出産して、早く親を安心させて」
・「(〇〇さんは)あなたの結婚相手としてふさわしくない」

まとめ:毒親の連鎖をあなたが終わらせよう!

上記で紹介した「毒親の特徴」「毒親の判断方法」を実践していただくと、今後は毒親の言動に振り回されにくくなるし、毒親対策も考えやすくなります。

最後にもう一度内容を確認してみましょう。

・毒親の10つの特徴
① 子供を管理する
② 子供を支配する
③ 子供に価値観を押しつける
④ 子供を過保護にする
⑤ 子供に過干渉になる
⑥ 子供に暴言を吐く
⑦ 子供に暴力をふるう
⑧ 子供に罪悪感を植えつける
⑨ 子供の進路や就職に口を出す
⑩ 子供の人間関係に口を出す

小児精神科医であるウィニコット博士は、「発達段階理論」の中で、「Good enough mother」=”ほどよい母親”という言葉を提唱しています。

これは、適度の心身の世話によって、快適な環境と、存在としての恒常性を与える母親を指します。言ってしまえば、普通のよい母親のことです。 ”完璧とはいえないお母さんの子が、まずまずスクスクと育っていくことができるのは、そこには十分な「ほどほどによい子育て」があるからだ”としていますが、子育ての絶妙なさじ加減というのは、まさにそこにあると言えるでしょう。

子どもに没頭し過ぎることなく、頑張るけれど、頑張り過ぎない子育て。それが、子どもにとっても居心地のいい環境です

冷静に親を観察して毒親だと判断するのは時間がかかると思いますが、これまでのことや直近の出来事を振り返りながら記事を読んでください。

あなたの人生で転機になった出来事やそのときの親とのやり取りと、「毒親の特徴」を照らし合わせてみると、自分の親が毒親なのか、あなた自身が毒親なのか判断しやすくなります。

上記内容を実践した後は、「親が毒親だった場合の対処方法」「自分が毒親だった場合の対処方法」が必要です。具体的に学びたい方は、この2つの記事もぜひ読んでくださいね。

あなたの人生はあなたのものです。毒親だと気づけたからこそ、毒親の連鎖をあなたが終わらせませんか?